- ブーツフィッティング おまけの読み物 -

おまけのページです。スキーブーツに関するお話を気まぐれにUPしていきます。

その2 かたちを読む 最近のスキーブーツに多く見られる特徴から

カービングスキーが登場してからもうかれこれ20年ぐらい経ったのですねえ。

従来のクラシックな形のスキーからカービングスキーへの進化は、道具としての正常な進化ではあったわけですが、あまりにも劇的な変化であったためメーカーもユーザーもある程度の共通認識が育ってくるまでは結構ドタバタしました。

そしてこのカービングスキーはスキーブーツにも大きな変化をもたらすことになります。劇的に進化したこのスキーの性能を生かすにはどういうスキーブーツが必要なのかを各メーカーは模索していくことになったわけですが、いち早く対応できたメーカーと遅れをとったメーカーとでは、市場の反応もスキーのとき以上に早くて勢力図が一気に塗り変わってしまったということもありました。

現在はカービングスキーの性能の突出した部分を「どう引き出すか」からその対応幅の広さに対して「どう操るか」も考え始めた、さらには改めて自社のアイデンティティーを見つめ直し始めたなど、新しい段階に入ってきているという印象はありますが、皆一度同じ方向を向いた結果似たような形のブーツがやけに多くなってしまったのも事実です。過去にも良いスキーブーツが出来上がると他メーカーも何かしら真似してくるということはあったものの、ここまで似たような形の物が多いというのも過去にはなかった気がします。

その是非はともかくとして、その形の共通する部分と微妙に異なる部分を比較することで見えてくることがあるのではないかというのが今回のお話です。



まずはカービングスキー登場以前の代表的なブーツを思い出してみましょう。当時は1ピースか2ピースかという切り口で比較検討されることが多かったですね。


2ピースタイプ 代表選手:ラングブーツ

ロアシェルの立ち上がりが低く、足首のところまでしかないので2ピースタイプと呼ばれた。ターン後半(かかと側)のグリップに優れている。比較的可動域が多く取れる構造で足首の柔らかい動きを使って広く乗るタイプ。この辺の性格は現在のラングにも残っているところ。ヒンジの位置は足首の可動軸に揃えてある。ソールはがっちり四角い形。このヒンジの位置とソールおよびフットベッドの形は何十年も変えなかった部分。この先もずっと変えないだろうと思われていた。素材の硬さを変えることでフレックスの設定幅を大きく取れるのが特徴で、初級者用から上級者用までシェルの形はほとんど同じだった。


1ピースタイプ 代表選手:ノルディカグランプリ

ロアシェルがほぼアッパーシェルの上端と同じ位置まで立ち上がっているので1ピース構造と言われた。ターン前半(つま先側)の捉えの速さに優れている。足首の動きを使うというよりも、ピンポイントで押すタイプ。この辺の性格も現在のドーベルマンにも受け継がれているところ。ヒンジの位置はアキレス腱に近いところ、この後ろの強さが特徴。ソールはリブを配置した形。このソールの形はCADもCAMもない時代、たまたまうまく出来た物らしいが丁度いい硬さとねじれの強さを持っているといわれていた。このような1ピースのモノコック構造は、その形によって決定される強度そのものが重要な意味を持つ。だからラングのように素材の硬軟で幅広いラインナップを揃えることが難しく、基本的に上級者向けのみの展開であった。

因みにライケル(当時、現K2 FT)のような3ピース構造は1ピースの変形と考えてよい。どうしても硬くなりがちな1ピース構造から、甲と脛の部分をざっくり切り取りそこにフレックスタングを被せた形。足首を曲げたときのロアシェルのたわみ方などを観察すると基本的には1ピースということがよくわかる。



何故か堅い口調になってしまいましたが、まあこんな感じでしょうか。しかし現在のブーツに1ピースとか2ピースとか当てはめて論じる人はあまり見掛けないですよね。

現在のブーツでもラングなりノルディカなりの性格はそれぞれ色濃く残っていて、自分にあったブーツを選択する際の目安にはなりますが、と同時に共通する部分を観察することによって現代のスキーとスキーブーツとスキー技術の関係をより深く理解できるようになるということもあると思います。似てきたのにはそれなりの理由があるはずだということですね。

スキーブーツの性能や性格は全体の構造や構成によって決まってくる物なので、この部分がこうだからこのブーツはこうだという風に一概に言えるものでもないとは思いますが、特徴的な部分に思いを巡らすことで作った人達の意図の一端を垣間見ることもできるのです。


ヒンジの位置

人間のくるぶしの位置は内側が高く外側が低いのですが、その軸とクロスするような感じでインサイドのヒンジ位置が低くアウトサイドが高い位置についている物が多くなりました。これは力をより内側に集めたいという考えからきていると思われます。フレックスはヒンジの位置を中心に出すのではなくてシェル全体のしなり(剛性)で出す考え方。勿論逆説的にヒンジの位置はここだからこのブーツはこうであるとか良い悪いということはなくて結果としてそうなったということでしょうけれども。


ソール形状

ソールの硬さとねじれの強さはブーツの性格を決める大事な要素のひとつですが、しなりの大きく出るカービングスキーに合わせてブーツのソールもよりしなる形の物が多くなりました。またソールも含めてブーツ全体でどこをどうしならせたりたわませたりして力を伝えていくかという作り方をするようになった結果でもあります。もっともブーツを設計する際、どこから構築して行くものなのか私たちには窺い知ることはできませんが。


かかとが低くなった

正確に言うとかかとの高いブーツが減ってきた。ここで言うかかとの高さとはつま先の高さに比してのこと(ランプ角)です。つま先とかかとの高さのバランスは前後のバランス、つまり重心位置を決定付ける大事な要素です。母趾球を中心にスキーを横に動かすのではなくて、スキーもソールもしならせて縦に滑らせながらターンに導くのが現代スキー技術の大事なポイント。前に乗るのではなくて、真ん中に乗るように設定するのは当たり前といえば当たり前か。そういえばカービングスキーが登場した当時、トゥピースとヒールピースの高低差が大きいタイプのビンディングを付けている人は、トゥピース下にスペーサーを噛ましたりと色々苦労しました。現在は極端にかかとの高いビンディングはなくなりましたし、メーカーのグループ化が進んでスキー・プレート・ビンディング・ブーツのトータルパッケージで開発することが多いのでそのような細工をする必要は少なくなりましたが、それぞれ別のメーカー(グループ)の組み合わせで使う場合は全体のバランスがどうでるのか確認しておく必要があります。

また最近増えているロッカー形状のスキーは縦に滑らせながら落としていける範囲が広くなってターンコントロールの幅が広く持てるのが特徴です。低いかかとの優位性がよりはっきりしてきたわけですが、メーカーの説明や指導の現場でも「真ん中に乗る」という表現からはっきりと「かかとに乗る」という表現をすることも多くなっています。表現の仕方は違いますが言っていることは変わらないので混乱しないようにしましょう。


起きてしなやかになったアッパーシェル

かかとの高さが低くなったことによって相対的にアッパーシェルの角度が起きることにもなりました(足首の前傾角度そのものは極端には変わっていない場合が多い)。また脛まわりもタングを薄くしたり、丸く均一にラッピングする形状のものが多くなって、その形状とともにアッパーシェルには強さよりもしなやかさを感じるものが多くなりました。

骨盤を立てて股関節を開いたポジションをベースに、外脚は長さを変えずに内脚はたくさん折りたたむ使い方をする、つまり内足と外足で機能のさせ方が違うことが多いのが現代のターン技術。両足首を曲げることが荷重だと思っている方にとっては軟らかいブーツが増えただけと感じられるかもしれませんが、前傾角度や前方向のフレックスは内足としてどれくらい動けるか・動かすことができるかにも意識をおくと最適なセッティングを見つけやすくなるはずです。強い外力に耐える為に外足は伸ばす力(突っ張る力)を使うのが有利という原則は今も昔も変わらないものですが、逆に関節を曲げていく使い方をする内足は外足に比べると遥かに筋力的にキツイものなのです。


タイトなロアシェル 薄いインナー

横方向への反応の速さが求められる現代のスキーブーツ。シェルも随分タイトになりました。トップモデルの足幅は軒並み95mm前後ですが、重要なのは前足部の幅ではなくて、くるぶしからかかとまわりが絞られている点。この部分のたわみ、変形はなるべく抑えたいという考え方がよくわかるところ。今のブーツはシェル全体のたわみとしなりで力を伝えていこうというブーツが多いのですが、この部分をたわませることは力が逃げて行くことに繋がります。また、足首・かかと周りの形状は足がどちらを向いて入りやすいか(ずれにくいか)にも大きく影響するところで、ここがタイトに作ってあるブーツというのは案外足の入り方を調整しやすいものなのです。ブーツフィッターにとっては実はありがたかったりします。

タイトなトップモデルのインナーにはくるぶし周り以外ほとんどスポンジが入ってないような物もあります。寒いのでは?という議論はここでは無視します。足がどうにも冷たくなる人はブーツのセッティングそのものを一度見直したほうがいいです。それでも冷たいブーツは確かにありますが・・・。


オフセット

つま先が以前より外側に向いてセットされたブーツや、足全体が外側に寄ってセットされたブーツが増えてきた。

実は足の中心線をどう設定するのがいいのかという議論は昔からあって、オフセットしたブーツは以前からありました。最初にオフセットしたブーツを出したのはロシニョールではなかったかと記憶しています(おぼろげな記憶)。

真ん中を向いているブーツも外を向いているブーツもどちらも力の向かう方向は同じです。どちらが良いとか悪いとかということはありません。足によって合うか合わないかの問題です。力の伝わる方向に対する考え方感じ方を適応させられるかという問題もあります。例えば脚から足へと通るエネルギーラインをインサイドで感じる人と、脚と足の中心軸で感じる(あくまでもイメージです)人とではオフセットされたブーツに対する評価(印象も含めて)が全然違ってきます。どのブーツが合うのかを検討する際は、自分の足が外向きに開きやすい足なのかどうかという事実と、力がどう伝わっていると感じるかというイメージの両方を考える必要があるということです。

技術的な側面からいえば、オフセットされたブーツはターン前半の捉えが早くなるのでターンを早く終わらせてグライドの時間が長く取れるのも大事なポイント。カービングスキーの使い方の基本と同じということで、スキーが横を向いてきてからもしつこく踏ん張ってないで早めに角付けを開放すれば良いということです。

また、足全体が外側に振ってあるブーツは、内足を傾けやすいことによってターン内側への重心移動がしやすくなるということで、スキーが下に向かっていく局面に焦点をあてているという意味では狙っているところは同じ。この辺のイメージは、このタイプのブーツを床に置いて内側に少し傾けておいてから手を離してみるとわかりやすい。元に戻って起ったところからそのまま外側に倒れていきます。


(注)アトミックでは"offset"=足全体の位置、"shell rotation"=足の向きという表現をしていました。確かにこの方がわかりやすいかもしれない。


オブリーク形状のつま先

これはスキーブーツに限らず現在の靴全体に増えてきている形です。つま先の形をまるく作るのではなくて、足先の形そのままに親指のところをまっすぐ前に伸ばした形のことをオブリーク(形状)と言います。カービングスキー登場以前からこの加工をしていたブーツフィッターは少なからずいたはずです。例えば5本の指をまとめてテーピングでぐるぐる巻きにきつく縛って片足立ちすることを想像してみればその意味がわかると思います。特に親指と小指が動かせるという感覚はバランスをとる上でとても大事で、カービングスキーによって内傾角がより深く取れるようになったことから尚更注目されるようになりましたし、実際タイトなブーツでも指回りには意外とスペースがあるブーツが増えてきました。


いかがでしょうか。現代のスキーブーツの「なぜこの形なのか」を観察していくことからどのような運動が求められているかが見えてくることもあるのではないでしょうか。



以下、現行上級機種、主にレース用及びその派生機種からメーカー別に思うところをあれこれ書いてみました。思いっきり私目線なので皆様のブーツ選択の参考になるかどうかはわかりません。やはり履いて感じてみるのが一番だとは思います。


まずはメジャーどころから。


ノルディカ ドーベルマンシリーズ url:http://www.tecnica-group.co.jp/nordica/

(08-09 大幅な変更なし)

(09-10 フルモデルチェンジ:オフセットシェルからEDT構造に)

(10-11 カラーの変更等)

(11-12 カラーの変更等)

(12-13 マイナーチェンジ:EDT構造の変更、カントビス、パワーベルト等)

(13-14 フルモデルチェンジ:WC EDT 150,130が93mm幅に)

(14-15 変更なし)

(15-16 WC EDT 100廃番、WC 110登場、幅98mmモデルがGPシリーズに移行)

(16-17 変更なし)

(17-18 ロゴ、バックルカラーの変更、など)

カービングスキーにいち早く対応したのが、このドーベルマンシリーズです。初代から数えて現在は4代目で随分いろいろ変わってきてはいますが、カービングスキー登場後の流れは初代ドーベルマンが決定づけたと言ってもいいでしょう。

EDTと言っているフットベッド構造になってから2代目の現行モデルは、その構造は変わらないもののシェルの形自体が全く新しくなりました。色が艶消しの黒になったことで初代ドーベルマンのような雰囲気も醸し出していますが、シェルが少し薄くなったこともあって幅が2mmタイトになったWC品番でも意外なほど足の納まりがよくて、初代ドーベルマンのような履きにくさはありません。また先代のEDTはまだフットベッドにメタルが入っていましたが現行モデルはプラスチックとカーボンだけになってさらにソールのしなりが感じられるようになりました。とにかく現行WCはインナーも含めて全体のバランスが非常によくなった印象でEDT構造になってからでは個人的には一番の好感触です。

幅95mmでローカフのWC EDT 100は先々シーズンから無くなり、テクニカR9.3 110と同仕様(レギュラーカフ/幅93mm/EDT無し)のWC 110がそれに代わっていますが、幅95mmやローカフモデルの復活は今のところ考えていないとのこと。なお幅98mmモデルはGPシリーズとして昨年より展開しています。

ちなみに現行モデルはパワーベルトが逆向きに付いていますが、そちらのほうが締めるときに力が入りやすいからだそうです。そんなにギュウギュウに締めない人にはあんまり関係ないことなのでイヤなら付け替えましょう。


テクニカ R9.Xシリーズ url:http://www.tecnica-group.co.jp/

(08-09 大幅な変更なし)

(09-10 インナーの仕様変更、バックルの変更、など)

(10-11 インフェルノの名がついてフルモデルチェンジ)

(11-12 変更なし)

(12-13 カラーの変更)

(13-14 ディアブロインフェルノからR9.3、R9.5、R9.8に)

(14-15 R9.3に110追加)

(15-16 R9.5、R9.8廃番、98mm幅はMACH1 LVに移行)

(16-17 変更なし)

(17-18 変更なし)

ムーンブーツなどで有名だったテクニカはスキーブーツに関してはイタリアのメーカーのなかでは後発組で、スキーブーツといえども快適な物でなければならないというコンセプトがまずありました。ですからプロパーモデルについてはややゆったりモールドのシェルに足当たりの良いインナーブーツ、前傾姿勢を維持しやすいやや高めのかかと、リバウンドの強すぎないシェル構造といった特徴が伝統的にありました。ただしそれらの特徴は最近の上級者が求めるブーツ像とは噛み合わない部分が多くなってきていたのも事実で、そのような流れからよりモダンな性能を求めてできあがったのがインフェルノです。このブーツはテクニカらしさを残しつつも同じグループ企業のノルディカドーベルマンにかなり似た形になりました。(ドーベルマンは快適性云々よりも滑るためだけの性能に特化したブーツの代表的なモデルの一つです)

インフェルノは現在R9.Xの名前になっていますが、先々シーズンからR9.5、R9.8が消え、幅93mmのR9.3のみとなりました。結果テクニカ・ノルディカともレースシリーズから幅95mmのモデルがなくなったことになります。

R9.3はドーベルマンWC EDTと形は同じですが、EDT無しの仕様です。同じフレックス値のWC EDTとR9.3を比べた場合、やはりEDT無しのR9.3のほうが軟らかく感じますが、この辺は好みで選べばいいと思います。またR9.3 110とWC 110は同じ形ですが、恐らく背面ビスが一本多い分だけテクニカの方が硬いはずです。


アトミック レッドスターシリーズ url:http://www.atomicsnow.jp/

(08-09 TI→STI、FR130→SFR、など)

(09-10 TIがラインナップとして復活、インナーの外皮仕様変更、など)

(10-11 バックルの変更、インナーの仕様変更、CSのフットベッド仕様変更、SFR廃番、CS100復活、など)

(11-12 FR廃番、CS130のインナーが上位グレードに、CS110 CS80 STI70追加、バックルカラー変更、など )

(12-13 レーステックからレッドスターになってフルモデルチェンジ)

(13-14 モールド弱冠変更、WC170、PRO120、PRO100追加)

(14-15 全機種メモリーフィットに、PROがM/W別のサイズ設定に、その他ロゴ・カラーの変更、など)

(15-16 基本継続、ロゴ・カラーの変更、など)

(16-17 幅98mmのPRO110およびW品番消滅、FIS APC LIFTED追加)

(17-18 フルモデルチェンジ、110以下に21cmサイズ初登場)

今年は2代目レッドスターとなって、フルモデルチェンジです。レーステックから初代レッドスターに変わったときに一旦は離れたユーザーも相当戻ってきそうな気配があります。タイムも出るらしいということで春先からJrのコーチ達の間でも話題になっていたようです。

昨年までの初代レッドスターはかかとからふくらはぎにかけてのシェルにカーボン素材を組合わせていましたが、今回はプラスチック単一素材に戻って、そのプラスチック自体もかなりしなやかな素材になりました。初期のドーベルマンEDTもそうでしたが、どこか1箇所だけ極端に硬い素材が入っているというのは難しいものなのかなあと素人的には思ってしまうのですが、この手のブーツは選手が勝てる道具かどうかがすべて。カーボンがなくなったからといって昔に戻ったと考えるべきではないと思いますし、足を入れてみればレーステックや初代レッドスターよりも良くなっていることはわかるはずです。

このレッドスターは後ろが全く反らなかった初代とは違い、かなり後ろにもしなるようになったので、リアスポイラーによる調整も含めて前傾角のセッティングは改めてしっかり出す必要があります。また単一素材に戻ったためシェルを厚くするところは厚くしなければならなくなったはずですが、なぜか非常に軽くなったのも特徴的。ただ初代と比べて色々柔らかくなりすぎ、という声も出てきそうなぐらい変わったので、今後素材の硬さや厚みを微調整してくる可能性はありそうです。

昨年までは幅95mmと98mmの二本立てでしたが、今回はWCが92mm、CSは96mmで、その違いは主にロアシェル前足部の厚みで作り出しています。WCは幅92mmということで以前のレーステックSTIよりもさらに細いはずですが、そうとは感じないぐらい履き心地はいいです。初代レッドスターとレーステックSTIではラッピングが全然違うので比べ様がないですが、その中間的な足型?と言われればそんな感じでもあります。

昨年は110以下はすべてローカフでしたが、今年は90,70は全サイズがローカフ、110は24.5cm以下のみローカフという設定です。また110以下に21/21.5cm(ソールサイズ291mm)が初めて登場しました。このサイズは今までラング1択だったので足の小さい方にはうれしい知らせです。


ラング ロシニョール ワールドカップシリーズ url:http://www.grkk.co.jp/

(08-09 上位モデルはフルモデルチェンジ)

(09-10 ラインナップの拡充)

(10-11 フルモデルチェンジ、久しぶりにローカフのJAPAN MODELが復活)

(11-12 幅92mmの選手用ZC〜ZAsoftがカタログモデルに、幅100mmのワイドモデル登場、などラインナップの拡充)

(12-13 サイズ21cmモールド追加、90,70も同じモールドに、ZAsoftの仕様変更、など)

(13-14 RSは基本継続、RPは弱冠変更あり)

(14-15 RPにZA+,ZJ+追加、カラー、インナー、バックル、パワーベルトの変更、など)

(15-16 基本継続)

(16-17 基本継続、デザイン、インナーの変更、など)

(17-18 RSフルモデルチェンジ、RS140廃番、RPはロゴ・バックルの変更、など)

一時はレースシーンでも市場でも苦戦を強いられていたラングですが、RS・RP品番になってから完全復活したと言っていいでしょう。

先シーズンまでの初代RSはインナーの改良等のマイナーチェンジはあったものの、シェルは7年間ほぼ変わらずに来ました。今年のモデルは見た目があまり変わらなくて一見マイナーチェンジ風に見えますが、完全なフルモデルチェンジです。手にとってみてすぐにわかるのは軽くなったこと、背面の形状が変わったこと、インナーブーツが変わったことなどですが、とにかく大きく変わったのはデュアルコアと呼んでいるシェル構造。シェルを成型する際に、5箇所からソフトとハードな素材を同時注入することで3層のサンドイッチ構造を作りだしています。カタログのカットサンプル写真では白いところがハードな素材、青いところがソフトな素材で、写真では内部しか載せていなくて分かりずらいですが、外部表面もソフトな素材の部分とハードな素材の部分があります。

単一素材でシェルを作る場合、シェルの基本構造が決まった上で部分的に強弱を作るにはシェルの厚みで調整するのが普通ですが、このデュアルシェルは厚みを変えずにそれができるので軽量化することもできて、フレックスとパワーの伝達、リバウンドの強さなどの調節がしやすくなるということらしいです。実際試し履きした感じでは一瞬軟らかくなったかなと感じましたが逆にバネ感は強くなったとも感じました。踵からふくらはぎにかけての後ろのサポートの部分がよりしっかりした形に変わったのもこの辺と関係あるはず。またトゥボックスや内踝、外踝の形なども微妙に変わっているのもその辺だと思います。あと実際に滑ってみないとわからないですがソールも3層になっているのでソールのたわみや捻じれ方も違うはず。ターンコントロールの感じも相当変わっているはずです。

足型自体は大きな変更はないですが、インナーブーツの表皮素材の変更やタングの形、くるぶしまわりがシェルの形に添うような形になったなどの違いはすぐわかるところ。ここ1、2年のインナーブーツが非常によかったので実際に使ってみないと比較できないところもありますが、アキレス腱まわりのフィット感は少し変わったものの足入れしてみた感じは全体的に悪くない印象です。

RPは元々RSとは幅や前傾角度、カント角度などが違っていてよりシビアなポジションと操作が要求されるブーツでしたが、今回のRSのフルモデルチェンジによって益々その違いもはっきりしてきました。ラングの言うところのロアシェルのゼロカントについては1°のまま使う選手は確実に減っているようで、後は選手によって0°だったり 0.5°だったりと色々だそうです。そういう面倒くさいことを考えたくない一般スキーヤーの方は、特別足が細い方は別としておとなしくRSにしておいたほうが無難でしょうか。あと数年前から追加されたZA+、ZJ+はボトムに近いところ以外にもくるぶしから舟状骨、土踏まずの辺りも微妙に削ってあります。

RS130とRS120SCあたりで迷っている上級者の方は多いと思いますが、カフの高さが違う為、人によっては130のほうが柔らかいと感じる人もいます。必ず両方履き比べてから決めましょう。それから120SCのほうが高さが低い分前傾角度が起き気味になりやすいのですが、120SCはリアスポイラーが付属していませんしオプションパーツとしての販売もやはりないようです。いくらなんでも起き過ぎと感じた方は他社の物でもいいので何かしら調達してくる必要があります。ついでに機種の選定に影響するほどではないと思いますが、色の違いからかラングとロシニョールでは同じ数字でもロシニョールの方が少し柔らかいです。ただデュアルコアのモデルについてその辺を調整してきているかはちょっと不明。またRSの21cmサイズは昨年まではインナーブーツは21cm専用でシェルは22cmのつま先部分を内側に厚くして21cm仕様としていましたが、今年からはソールサイズ261mmの21/21.5cm専用のシェルを新しく作ってきました。


サロモン url:http://www.salomon.co.jp/

(08-09 色々変更有り)

(09-10 色々変更有り)

(10-11 大幅な変更無し、基本的に継続)

(11-12 大幅な変更無し、基本的に継続)

(12-13 上位機種フルモデルチェンジ)

(13-14 X LAB 110追加、X MAXシリーズラインナップ拡充等)

(14-15 継続モデルとカラー変更モデルあり、その他X MAX90W追加、など)

(15-16 基本継続、カラーの変更等はあり)

(16-17 基本継続、X LAB弱冠変更あり)

(17-18 継続モデルとカラー変更モデルあり、X MAX RACE、X LAB 90新登場)

12-13シーズンにフルモデルチェンジをしたアメアグループのアトミック・サロモンの両ブランドでしたが、底から後ろへのLラインを別素材で強化して剛性をコントロールするというコンセプトはやはり似ていました。ただ実際に履いてみるとやはりサロモンはサロモンで、インナーも含めてアトミックとは全然違います。インサイドのフレームをヒンジのところまで伸ばしてヒンジ自体も大きいものを付けることによって2ピース的なスイートスポットの広さを確保しているあたりもサロモンらしい感じです。ヒンジを大きくするというのは今まで有りそうでなかったもので、おもしろいところに目を付けたと思います。

履きやすさはサロモンの伝統的な特徴ですが、X MAXもよく考えられた足型設定や足当たりのいいインナーブーツなどその特徴は健在。さらにかかとが低くなって尚且つかかとが少し後ろに納まるようにもなったのでつま先側の余裕はさらに増しました。

現行X LABは以前のX3 LABに比べるとソールおよびソールに近いところがしっかりした印象で、実際ソールに近い部分のシェルの厚みをかなり増しています。X LABとプロパーモデルはやはり別物と捉えるのが自然ですが、X3 LABからX LABへの変化はプロパーモデルのコンセプトにも沿ったものです。X LAB 110は、シェル素材の硬さは変えずに主に厚みを変えてフレックスを130から110に落としています。ただ最近の物は熱をかけたときの感じが初期モデルからは微妙に柔らかい素材に変わっている気がしたので、130も含めてその辺は少し変えてきているかもしれないです。あと昨年から130,110ともに品番に「+」が付いてリアのリベットがサイドヒンジ同様の大きな物になりました。

今年追加になったX MAX RACEはX MAXの前足部インサイド付近を中心にシェルを厚くして弱冠タイトにしたモデルです。履いてみると確かにそういう感じなのですが、それよりもこのブーツの肝はインナーブーツ。X-MAXよりかなりしっかりしていていい感じなので、インナーブーツの違いで選ぶのも多いにありだと思います。また今年からX LAB 90も追加されましたが、言われてみればこれぐらいのレーシング系Jrブーツは今までサロモンにはなかったですね。


ヘッド ラプターシリーズ url:https://www.head.com/ja-JP/home/

(08-09 大幅な変更なし)

(09-10 細部変更あり)

(10-11 バックル・パワーベルトの変更、など)

(11-12 カラーの変更、インナーの変更、など)

(12-13 大幅な変更なし、B5 RD追加)

(13-14 バックルカラー、インナー素材弱冠変更等)

(14-15 基本的に継続)

(15-16 基本的に継続)

(16-17 基本的に継続)

(17-18 基本的に継続、バックルカラーの変更)

初期は毎年のように細かな改良・変更があってフィッティングやサイズ・フレックスのチェック等が欠かせなかったラプターシリーズですが、ここ数年はバックルの色の変更、インナーブーツに引っ張る紐が付いた、インナーブーツの硬さが少し変わったりといった小さな変更に留まっています。

ヘッドのブーツは甲の嵩(かかとから足首付け根までの距離)を大目にとってインナーも割りと厚めでしっとりとしたフィット感というイメージが伝統的にあります。現行ラプターもそのイメージから大きく外れるものではないですが、インナーは初期モデルに比べると薄くなってよりカチッとしたフィットを感じられるものに徐々になってきました。やたらタイトなシェルが多くなってきている昨今ですが、ラプターのようなブーツがあるとやはり少しほっとするのも確かです。今年もシェルの形は変わっていませんが、シェル素材は初期モデルに比べるとかなり粘っこさが増した感じがしますので、改めてその辺はチェックしておいたほうがいいと思います。

現行モデルに採用されている目新しい形のバックルは、シェルに沿うようにしなること、締め加減にかかわらずキャッチャーのフックの位置が変わらないことが特徴ですが、この変更は意外と影響が大きいようで、試し履きで感じるフィット感だけでも以前のものとはかなり違う感覚があります。


フィッシャー RC4シリーズ url:http://www.goldwin.co.jp/fischer/

(08-09 足幅95mm→98mmに変更、FLEX100Jrが同じモールドに)

(09-10 アライメントの変更あり)

(10-11 幅95mmがPRO品番として復活、他ラインナップの拡充)

(11-12基本的に継続、ロゴデザインの変更)

(12-13 VACUUM FITの本格展開)

(13-14 Jr用以外全てVACUUM FITに)

(14-15 VACUUM FIT TWO ZONE、一部パワーベルト・カラー変更、など)

(15-16 カラー・ロゴデザインの変更、インナーブーツの改良、など)

(16-17 基本継続、140VACUUM,130THERMOカラー変更、など)

(17-18 RC4 PODIUM、RC4 THE CURVとなってフルモデルチェンジ)

昨年までのRC4シリーズは約10年間、オフセット角やフットベッドの変更、VACUUMによる展開、インナーの改良などのマイナーチェンジはありましたが、構造的な部分はほとんど変わっていませんでした。今回ついにフルモデルチェンジです。前モデルは同じ形で幅95mmと98mmがありましたが、フルモデルチェンジに伴って大人用のPODIUMはVACUUMなしの92mm幅だけになり、それよりもワイドなモデルはこれも新ラストのTHE CURV VACUUM(97mm幅)として明確に住み分けがされました。またJr対応のPODIUM 90/70は97mm幅でロアシェルは旧RC4に似ていますが、アッパーも記憶にないタイプのローカフなので上下とも新モールドかもしれません。

PODIUM 150/130/110は足を外側に向けたオフセットはなくなり、踵も低くなりました。足首の前傾角からくるポジション的にはやはりリアスポイラーは必要ないぐらいタイトで、カントパーツによる調整も試す価値ありですが、前モデルで特徴的だった後ろが強い感じはなくなり、インサイドの強さを感じるブーツになりました。ソールの形などはアトミックそっくりですが、この履いただけでわかるインサイドの強さはなかなかインパクトがあって、当たり前ですがアトミックとは全然違います。

前モデルは一度喰ったら離さない感じでオートマチックにターンドライブを繋げていくタイプのブーツで、だからこそ後ろの強さが必要だったのですが、PODIUMはより広く乗れるコントローラブルな方向に振ったということだと思います。おそらく現在のフィッシャースキーとの相性を含めて、WCの選手達はこういうブーツを望んでいるということだと思いますが、相当な方針転換です。バキュームフィットでなくなったことについても、シェル素材的なことも含めて選手達が満足できるものではなかったというところでしょうか。実際VACUUMとプリントされているけれどもVACUUMでないブーツもありましたし。

フィッシャーのインナーブーツはこれまでそう褒められるようなものでもなかったのですが、PODIUMは足当たりのよさ、指の動かしやすさ、脛周りの密着感など格段によくなっています。シェル、インナーブーツ含めて全く別物になったと言っていいです。


レクザム パワーレックスシリーズ url:http://www.rexxam.com/

(08-09 防水対策を中心に細部の変更あり)

(09-10 マイナーチェンジですが内容的にはフルモデルチェンジに近い)

(10-11 フルモデルチェンジ)

(11-12 フルモデルチェンジ)

(12-13 細部の変更あり)

(13-14 データからパワーレックスになってフルモデルチェンジ)

(14-15 アッパーシェル、インナーブーツの変更、など)

(15-16 シェル形状を中心に色々変更あり)

(16-17 フットベッド、アッパーシェル形状の変更、など)

(17-18 150,130はシェル素材変更、他インナー、シェルとも変更あり)

レクザムは当初オフセットシェルや前後の段差の大きい独特な形のフットベッド、それらからくるポジショニングの問題などが物議を醸し出しましたが、現在では純粋に性能的な観点から語っていいレベルになったと思いますし、選択肢の一つとして無視できない存在にもなってきているといってもいいでしょう。

面で押すというよりもインサイドのラインで噛んでいる感覚が強くて、大回りはいいけれども小回りが・・・という印象がずっとついてまわったのがデータシリーズでしたが、現行パワーレックスシリーズになって随分とそのイメージが変わりました。履いて立った瞬間に足裏全体でべたーっと乗れている感覚というのは今までのレクザムにはなかったものです。

国産メーカーらしいきめ細かさで毎年アップデートしてくるのがレクザムのいいところでもあり、時に戸惑うところでもあるのですが、昨年からつま先がマイナスカントなデータ最終型のフットベッドからつま先フラットな新しい形の物に変わっています。またかかとの高さも弱冠高くなってややもすると立ち過ぎて動きにくいこともあったポジションも変わりました。フットベッドの変更に合わせてアッパーシェルの形状も大きく変わりました。イメージとしては遊びの部分をフットベッドからアッパーシェルにまかせた感じだと思います。

どのブーツもそうですが、最近のレクザムを検討する際は特に前後バランス(動きやすそうな姿勢がとれるか)と、フレックスの感じ方(実際に動きやすいか)をしっかり確かめる必要があります。今年は主にインナーブーツ特にタングの改良によってそのあたりを変えてきています。脛まわりのラッピングがよくなったので、かなりしなやかさを感じるようになってきました。またラッピングがよくなったことでかかとの締まりもかなり変わりました。ただしインナーブーツの種類によってはこの辺の感じ方も変わってくると思いますので、可能であれば違うタイプのインナーブーツも確かめておきましょう。


ダルベロ DRSシリーズ url:http://www.marker.co.jp/

(10-11 スコルピオン登場)

(11-12 スコルピオン本格展開)

(12-13 ラインナップの拡充等)

(13-14 STRIKE追加等)

(14-15 STRIKE及び幅95mmのWORLD CUP消えた)

(15-16 STRIKE復活、幅95mmのWORLD CUPも新モールドで復活)

(16-17 DRSとなってフルモデルチェンジ、98mm幅SR→DRS、95mm幅WC→93mm幅DRS WC、など)

(17-18 基本継続)

日本ではマイナーものというイメージがなかなか抜けませんが、実は世界シェアでは結構上位だったりするメーカー。日本でも3ピース物がフリー系の人達中心にじわじわ人気上昇中。スケルトンシェルの美しさではピカイチ。実はスケルトンのシェルを最初に作ったのもここだったりする。それにしてもFTブーツといいダルベロといいアメリカ人の3ピース好きはよくわからないところがあるよなあ。

レースで使える2ピースブーツ(スコルピオン)は、昨年DRSシリーズとなってフルモデルチェンジしました。95mm幅の物がなくなり、DRSは98mm、DRS WCは93mmと両者の違いもはっきりしてきましたが、単に幅が広い狭いというだけではなくてアウトサイドや足首周りの絞り方など全然ちがいますし、力の伝わり方逃がし方などまるっきり別物になったと言っていいです。その辺は履いてタングを軽く押してみただけでわかると思います。

このブーツは全体的に外側にオフセットしてありますが、造りそのものは同じようにオフセットしてあったレーステックよりもドーベルマンに近いタイプです。ただ今回のフルモデルチェンジで先代スコーピオンより見た目も実際もかなりしなやかさが増した感じです。さらに今年は昨年より微妙にシェルが柔らかくなっているようです。

インナーは自社開発で、インナーの良さはメーカーとしてもアピールしていきたいところと言っていました。


昔からあるが最近触っていないブーツ。


K2 FTシリーズ url:http://www.k2japan.com/

カービングスキーの時代という観点からすると古い設計のブーツではありますが今でもフリー系スキーヤーからの支持はアツイようです。3ピース構造とフレックスタングは押した速さに応じた返りが戻ってくる、つぶれても容積が変わらないなどのメリットがありますが、そんなことよりとにかく軽い。サーモインナーだから尚更軽い。市場に出回っているのはサーモインナー仕様だけだと思いますが、サーモインナーの仕様がライケルの時代とは変わっているのでお店の人によく聞いてほしい。このブーツにこだわりを持って昔からずっと扱っているお店はよく知っていると思う。またパーツを自分で簡単に色々交換できるのもこのブーツの強みか。ちなみにトゥボックスを広げたりフットベッドを低くしたモデルも最近でているようです。


ゲン url:http://www.genfactory.jp/

このシェルで作り始めてから何年になるのだろう・・・。数年前からINTUITIONインナーが選べるようになってますね。


まだいじったことがないブーツ。


ここで取り上げる可能性のあるのはAvirivaかなあ。


(おまけその2 おわり)