和紙漉き職人の記録

 
 

 私が、和紙漉き職人「上倉さん」と知り合ったのが1998年、飯山線沿線の風景や人々を撮影していた頃、内山和紙を漉いている人が栄村の平滝にいると聞き、通りかかった村人に尋ねたところ「それなら家でやっている」と、偶然にも上倉さんの奥さんに出会ったことから撮影が始まりました。それからは、撮影の機会を作っては訪れ記録に残してきました。

 一枚の紙は楮を育て、収穫し加工、そして紙漉きと、年間を通して幾つもの過程を経て出来上がり、そこには家族がいたるところで関わりを持ち、家族の絆が伝統工芸品「内山和紙」を支えていることを知りました。

 上倉さんが時々口にした「紙は気を漉く」という言葉が今も印象に残っていますが、昔から漉き手の精神状態や体調が一枚一枚の紙に反映されるといわれるほど、微妙な感覚が必要と言われてきたそうです。「内山和紙」が伝統工芸品と言われる所以でもありましょう。

 上倉さんがお亡くなりになって数年が経ちますが、和紙漉き職人と伝統工芸品「内山和紙」の記録は私と上倉さんの親交の記録でもあります。

 撮影に協力していただいた上倉さんご家族やご近所の方々に御礼申し上げます。