治療と対策 |
「ヘルペスウィルス性造血組織壊死症」はウィルスが原因のため、治療薬は無い。
病気の発生は4〜6月、10〜11月の春・秋2回の山がある。ウィルスは高温に弱い傾向があり、ヘルペスウィルスも例外ではない。 |
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埼玉水産試験場の行った試験の紹介
・ 水温24.5℃の状態で人為的に感染させる
・ 順次水温を上げ31℃以上になると、死亡率が低下
・ 水温33℃で3日後、ほとんど死ななくなった
・ 水温33℃で4日後は全く死ななくなった
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1. |
変温動物である魚類にとって水温変化は大変なストレスとなり魚体を弱らせ死に至る事にもなるので、扱いには十分な注意が必要である。水温を上げる場合も下げる場合も、急激な変化は魚に大きな負担になるので魚の状態を良く観察しながら慎重に行う。 |
2. |
病魚は貧血様態のため普段以上に十分酸素補給を行うことが重要。 |
3. |
”ヘルペスウィルス性造血組織壊死症”は魚を外観で見て診断できる特徴的な症状は無い。したがって魚の様子がおかしいと感じ、ヘルペスと診断した時には既に他の病気に複合感染していると言うことになる。 |
4. |
上記の試験場の実験では、健康状態の魚を無理やりウィルス感染させたので、ウィルスのみを考えることができたが、我々が病気の魚に気付いた時には、別の病気に複合感染している場合が殆どである事を、忘れてはならない。安易に水温を上げると、鰓腐れ病、尾腐れ病の病原菌や多くの寄生虫は概ね高水温で活動が活発になり、急速に病状が悪化する。水温を上げるにあたって病気の原因と、病状を確実に診断し、対処することが重要である。複数の病気に複合感染している場合は、抗菌剤の併用を検討する必要がある。 |
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感染経路 |
病原体(ウィルス)に感染する2つのルート |
1. |
垂直感染
生まれた時に親からうつる垂直感染
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2. |
水平感染
飼育水や魚の移動等による水平感染 |
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感染経路は以上の2ルートがある。 |
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感染の防止方法 |
1. |
垂直感染を防ぐには
・健康な親を選ぶこと。
・産卵後受精卵をヨード剤(ポピドンヨード)で消毒した後、あらかじめ消毒をして無菌状態にした孵化池に卵を収容することで、親からの感染を防ぐことができる。
・すなわち、卵の内部、精子にウィルスは存在しないため、卵の外側を消毒することで親からの感染を防ぐことが出来る。 |
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2. |
・水平感染を防ぐには、感染の可能性のある魚は、親魚、稚魚を問わず自分の池に入れない。
・自家産の稚魚であっても、出来るだけ混ぜないで腹ごとに別々に飼う。
・飼育池は全池を一度に塩素消毒を行う。
・タモ等の飼育器具は池ごとに別々なものを用意する。
・飼育管理者は、手・足(長靴)を作業前後に逆性石鹸等で消毒する。 |
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