第9回『若月賞』受賞者のご紹介



長池 博子 氏
(ながいけ ひろこ)
産婦人科医師・長池女性健康相談所長

《表彰理由》
 氏は、1923年歯科医の両親のもと茨城県に生まれ、東京女子医学専門学校(現東京女子医大)卒業後、東北大学医学部産婦人科学教室に入局した。1947年仙台市立病院産婦人科勤務となってから、日本の敗戦後、焼け野原のあちこちに立つ術娼たちの性病検査と治療に明けくれる毎日であった。女性の性や身体が、物の商品として売買されている状況や、法律を知らないために泣き寝入りしている女性も多いことに努りを覚えると同時に、『この繰り返しをどうすれば止められるのか』が氏の生涯を通しての課題となった。
 この時期に出会った多くの夜の女たちによって、氏は社会の光と闇を学び、女性が社会をもっと知って賢くなるべきことを、自らも体験した男女差別とも絡めて実感された。
 1951年に長池産婦人科を宮城県の女医として初めて開設し、さらに1973年には長池優生保護相談所(現長池女性健康相談所)を宮城県で最初に開設し、受胎調節や女性特有の悩みについて、相談にのることをはじめ予防医学にも本格的に取り組んでこられた。
 思春期における妊娠出産をはじめ、女性だけが出会うさまざまな困難に、まだこのような言葉がなかった時代からリプロダクティブ・ヘルスとライツの視点から、地域の性の問題に悩む女性たちを支えてこられた。1998年には、私財を投じて、地域の女性と健康にかかわるリプロヘルス研究の組織を主宰し、多くの保健婦たちが参加してきている。
 これらの貢献が認められ、1999年度男女共同参画社会づくり功労者内閣官房長官表彰を受けられたことは、社会につとに知られている。
《略歴》 昭和19年 東京女子医学専門学枚(現・東京女子医科大学)卒業
   19年 東北大学医学部産科婦人科学教室研究生
   22年 仙台市立病院産婦人科勤務
   26年 長池産婦人科開業(仙台市青葉区中央)
   30年 東北大学医学部公衆衝生学教室研究生
   41年 仙台医師会理事
   45年 日本女医会理事
   47年 宮城県医師会常任理事
   48年 長池優生保護相談所開設
   50年 仙台家庭裁判所調停委員
   56年 宮城県女性問題懇談会委員(座長)
   61年 東北大学医学部非常勤講師
平成 8年 法改正により長池女性健康相談所に名秩変更
   11年 宮城県性教育堆進連絡協議会顧問
《受賞》 昭和63年 日本女医会吉岡弥生賞受賞
 平成5年 文部大臣賞受賞
    7年 仙台市政功労者表彰(女性の地位向上に貢献)
   10年 松本賞受賞(リプロダクティプ・ヘルスの功績)
   11年 平成11年度男女共同参画社会づくり功労者内閣官房長官表彰