第9回『若月賞』受賞者のご紹介



川村 敏明 氏
(かわむら としあき)
総合病院浦河赤十字病院精神・神経科部長

《表彰理由》
 氏は1949年に北海道に生まれ、札幌医科大学を卒業後精神神経科に入局した。1982年から浦河赤十字病院で研修、終了後同病院を離れるも、希望かなって1988年同病院に復職し今日にいたる。
 氏とコンビを組んだのが、精神科ケースワーカーの向谷地生良氏である。1980年、精神障害者の共同住宅を浦河教会・旧会堂につくり、83年、障害者の自立支援と生活手段確保のため、有限会社・福祉ショップ「べてるの家」を設立した。「べてるの家」の仕事は”日高昆布”の販売のほか、配達業、住宅修繕、清掃業、ごみ回収業など多岐にわたっており、現在も事業を拡大している。
 べてるの家で暮らす障害者は、自分の病名や症状を隠すことなく、入退院を繰り返しながらも自立した生活を営み、地域の中で生きている。病院の一部が“べてる”なのではなく、地域の一部が“べてる”なのである。「弱さを絆に」を合い言葉に実践されてきたべてるの家の理念は、@三度の飯よりミーティング、A苦しみは、悩みはオープンに、B基本は自分、となっている。この芯を障害者自ら「備見、差別、大歓迎!」と公言するように、強靱なユーモアが貫いている。
 氏は長年これらの障害者とつき合い、かよい合い、励まし合い、ともに生きてきた。それは“リハビリテーションから、コミニュケーションヘ”という言葉に代表されている。これらの活動は全国的に評価され、昨年第一回日本精神神経学会・精神医療奨励賞を受賞された。また本年2月18日、「筑紫哲也ニュース23」(心のシリーズ)で90分間生中継放映されたことは記憶に新しい。
《略歴》 昭和24年 北海道・森町に生まれる
   56年 札幌医科大学卒業
   56年 同大学医学部精神神経科人局
   57年 浦河赤十字病院に研修医として勤務
   59年 札幌旭山病院アルコール専門病棟勤務
   63年 希望かなって浦河赤十字病院へ二度日の勤務。現在に至る
《受賞》 平成11年「べてるの家」のメンバーとともに
  第1回日本精神神経科学会精神医療奨励賞受賞