トランスフォーマー

日付:

2007.09.01

あまりに騒々し過ぎて良くわからなかった。もう少し静かに映画を作れないものか。しゃべくり漫才というのはあるが、まさにしゃべくり映画である。登場人物がしゃべりまくるだけでなく、次から次へと繰り出される映像は洪水の如し。何よりそれにウンザリしてしまった。まるで観客の思考力や判断力を奪うかのようである。この映画の映像展開の全体を把握できる人がいるのだろうか。それともゲームやハッカー世代は、このくらいの速度でも平気で把握してしまうのだろうか。 まるで絵に描いたようなハッカー(肥満で自己中心的で多弁)の登場もお決まりの感じで、五月蝿さに拍車をかける。おまけにコメディなのかSF侵略ものなのか混然としていて、どう反応したらいいのかわからない所も多い。

金属生命体が、戦争で母星が滅んでしまったので地球を侵略に来た。実は大昔に来ていたらしい。ウィトウィッキーなる変な名前の主人公のおじいさんのその又おじいさん(高祖父)が、南極で遭難しているその生命体の1体を発見して以来、アメリカ政府により「セクター7」という、宇宙人の「エリア51」みたいな極秘機関によって、ずっと密封されている。彼らは地球の機械・電化製品に変身でき、地球の文明を乗っ取るのか破壊しようとしているのかわからないが、とにかく地球は危機となる。彼らには敵味方があって、セクター7に隔離されているメガトロンが率いるデストロン軍団とオプティマス・プライムが率いるオーボッツ軍団で、互いに宿敵同士。両者は地球でも戦っている。「キューブ」というエネルギー源の塊を奪い合っているのだ。このあたり何故なのか良くわからない。一応設定するにはしたけれどどうでも良いのかも知れない。そんな感じだ。

プライム軍とメガトロン軍の戦いに、当然人間(ハリウッド映画なのでアメリカ)の軍隊も加わるのだが、人間側は、プライムが味方だとどうしてわかったのか。さらに味方(プライム)と敵(メガトロン)をどうやって区別しているのかもさっぱりわからない。あまりに戦況が目まぐるしく観ている方も、どれがどれやらさっぱりだった。

トランスフォームとは「変身」という意味である。しかし、観客の誰もがこの変身の全容を目撃することはできないだろう。変身シーンはきわめて緻密に出来ているらしい(この職人芸的な凄さは認める)が、ゴチャゴチャ細かすぎる。目移りしてしまって焦点が定まらないし、変身場面の描写スピードが速すぎて何がどうなっているのか結局わからない。眼で追うのが不可能なのだ。

カルトな視点がまったくない。変身したものが動き回るのを見たいわけではなく、どう変身するかというプロセスを眺めたいのである。結果しか提供していないのは、作り手の怠慢といえるし、素材に愛情を持っていないと感じてしまう。マニア的偏愛がないのは、この監督の凡庸さの表れでもある。圧倒的な物量を見せつけられただけ。

しかしながら、ロボットものをこのような破格のスケールで実写化されてしまうと、日本のアニメ「ガンダム」や「パトレイバー」などは、理屈の上では簡単に実写映画化可能ということになってしまう。大企業に吸収合併されるみたいで、なんとなく味気ない気もしてくる。

字幕・松崎宏幸


 ●監督◎マイケル・ベイ
 ●製作総指揮◎スティーブン・スピルバーグ マイケル・ベイ マーク・バーラディアン 
 ●脚本◎アレックス・カーツマン ロベルト・オーチー  
 ●音楽◎スティーブ・ジャブロンスキー
 ●主演◎シャイア・ラブーフ
 ●共演◎ミーガン・フォックス ジョシュ・デュアメル ジョン・ヴォイト ジョン・タトゥーロ 
  (声)ピーター・カレン(プライム) ヒューゴ・ウィービング(メガトロン)
    
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