スパイダーマン3

日付:2007.05.01

 今回登場する敵役は前回に引き続きニュー・ゴブリン、新たに砂の巨人サンドマンとブラックスパイダーマンのヴェノムという3人である。敵役は「1」では1人、「2」では2人、「3」で3人と来れば次回作「4」では4人となるが、これはもう限界だろう。これにスパイダーマンであるピーターの最愛の伯父を(第1作で)殺した真犯人への復讐心が加わる。SWのアナキン・スカイウォーカーのように精神のダークサイドにピーターの心が惹き付けられてしまう。

宇宙からわけもなく飛来した黒い物体。これは人間の心の憎悪の部分を増殖させるらしい寄生体で、ピーターの家になぜか居候してしまう。サンドマンは「2」と同様に、意味不明な科学実験に運悪くというよりも、あまりにイージーに巻き込まれた結果(このあたり実にいい加減だ)、砂と分子レベルで合体してしまった(いったい何の実験なのか)脱獄囚で、ピーターの伯父殺しの犯人だ。それを知ったピーターの復讐心に反応する寄生体。スパイダーマンとしての性格も変化する。ピーターに仕事の上で恨みを抱き、自分が恋する女性をスパイダーマンに取られたと思い込んだ男が、黒い寄生体にとりつかれ復讐の鬼ヴェノムと化す。父をスパイダーマンに殺されたと思っているハリーは執拗にスパイダーマンを襲撃する。そしていつものように恋人MJとの関係にも擦れ違いがおき、コミック特有の隙間風ビュンビュンのガタガタストーリーで、人間関係もグチャグチャ。

シリーズ最強の敵というキャッチフレーズのヴェノムは、キャラクターが弱く大した奴ではない。ゴーレム神話を模したかに見えるサンドマンは、「2」のDR.オクトパスのような怪物としての悲しみが足りない。彼は人を殺してしまったという罪の意識は希薄で、単なる事故としか思っていない(さすがアメリカ・・・)。難病の娘がいて治療費欲しさに脱獄したのである。サンドマンは完結した仕舞い方をしておらず、罪を認識したのか、逃亡を続けるのか、娘の治療費はどうしたのか結局わからない。この辺のエピソードに小味を利かせた展開がないから散漫なまま終わってしまう。続編にも出てくるつもりなのだろうか。

復讐から赦しへと予定調和するべきストーリーがどんどん壊れて拡散していき、正直言ってやれやれな作品になってしまった。2時間20分という途方もない長さに、必要以上にたくさんのエピソードが並べられた映画だが、同時にそれだけの映画である。大味な要素だけ詰め込んで、あとは盛大なVFXのオンパレードで何とかしようという意図がバレバレであり、VFXにしても「2」のような驚きや切れ味はない。一応今までの集大成を目指したかに見えるが、むしろ限界を示しており、明らかに収拾がつかなくなっている。メタボリックな大作だ。

スパイダーマンが完全に正装して登場する場面が極端に減っている。前半などは、スパイダースーツを着ないで背広服でニュー・ゴブリンと空中戦をやっている。これをやられてしまうと「スパイダーマン」という特異性が失われてしまう。その後もスーツは着ているが、顔はマスクが破れたりして演者のトビー・マクガイアのままで露出されていることが多い。主演俳優にそれなりに気を使っているのだろう。

吹き替え版にて。


 ●監督◎サム・ライミ
 ●原作◎スタン・リー スティーブ・ディッコ 
 ●脚本◎サム・ライミ アイヴァン・ライミ アルヴィン・サージェント
 ●特殊効果スーパーバイザー◎スコット・ストクディク
 ●音楽◎クリストファー・ヤング
 ●主演◎トビー・マクガイア(猪野 学)
 ●共演◎キルステン・ダンスト(岡 寛恵) ジェームス・フランコ(鉄野正豊) ブライス・ダラス・ハワード トファー・グイレイス
 トーマス・ヘイデン・チャーチ  ジェームス・クロムウェル J・K ・シモンズ(立川三貴) ローズマリー・ハリス(谷 育子)
特別出演ウィレム・デフォー クリフ・ロバートソン
     ★吹き替え声優は上記以外わからない。キャストぐらいちゃんとHPで紹介しろよ。いつものことだが。


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