キサラギ

日付:

2007.08.25

遅れてきた清純派タレント如月ミキの焼身自殺の一周忌。それを「記念」して、インターネットのファンサイトで知り合った5人が、都内某所の屋上の廃屋に集まる。彼ら自身のキサラギ・コレクションを見せ合い、ファンとしてのこだわりを自慢するために。始まりは如月ミキ追悼パーティーの集まりのつもりだったが、彼女の思い出を語り合ううちに、如月ミキの死因についての疑念が突如浮上してしまう。ミステリーだがコメディでもあり、かつ最近珍しいタイプのディスカッション・ドラマともいえる。

お互いにハンドルネームで呼び合い、ファンサイトの管理人で「家元」と呼ばれる男は警察官、「スネーク」と呼ばれる店員、地方から出てきた農家の後継ぎの「安男」、「オダ・ユージ」と名乗るサラリーマン風の男、まったくのオジサンである「イチゴ娘」。彼らは実は意外な繋がり方でそれぞれ如月ミキと繋がっていた。

ほとんど追悼会場一か所で話が進むミステリーである。(もともと舞台劇として書かれた話のようだ)彼らは如月ミキのファンであった、そして今でも熱烈なファンであるという一点で集まっているだけの他人同士である。その5人の身元が徐々に明かされる度に、如月ミキの死の真相は今まで考えられなかった方向に転がって行く。七転八倒のどんでん返しのつるべ打ちというもいうべき展開とクライマックスに脱帽である。結論的には、自殺ではなく、他殺でもなく、ようやく「事故死」ということに落ち着きそうになるのだが・・・、しかし。

如月ミキの顔は、グラビア写真でも光の加減で常にわからない。5人にははっきりわかっているキサラギの顔が、観客にはわからない。しかしタイトルは「キサラギ」である。この意味を考えたが、無理だった。第一、ラストで生前のイベントで歌っている彼女が顔もろとも出てきてしまう。(いままで隠していて、なぜ?)これを見ると、とても大の男が夢中になるようなアイドルには見えず、A・B・Cどころか可哀そうなくらいイモなD級アイドルである。

こんな超マイナーなアイドルに惚れ込むなんて、大人気なさ過ぎると思わずにはいられない。やはり顔は最後まで出さずに置いた方が良かったし、そのためにずっと顔を映さなかったのではないのか。そこも含めて、ラストの一同解散となりかけた時に、(なぜか宍戸 錠が突然出てきて)「やっぱり他殺」といい出すのは意味がわからなかった。せっかく整理がついた頭の中が、散らかってしまったようで後味が悪い。作品の評価もどんでん返し。


 ●監督◎佐藤祐市
 ●脚本◎古沢良太
 ●音楽◎佐藤直紀
 ●主演◎小栗 旬
 ●共演◎小出恵介 ユースケ・サンタマリア 塚地武雅 香川照之
    
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