インディ・ジョーンズ  クリスタル・スカルの王国

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2008.06.21

珍しくも公開初日に映画館へ。待ちかねて走ったわけではない。なぜかそういうことになった。「最後の聖戦」から実に19年ぶりの復活なのだそうだ。そもそも、このシリーズのハリソン・フォードに全く魅力を感じないので前3作はほとんど覚えていない。お宝冒険ものというジャンルに興味がないためかもしれない。ヒロインに魅力がないのもこの映画シリーズの困った特徴なのだが、映画自体にも「JAWS」、「未知との遭遇」、「スター・ウォーズ」といった作品に感じられるような瑞々しい「色気」というものが感じられないのである。それとここで言われるお宝は毎度思い上がった独善的なシロモノで、手にしても世界に対して何の作用もしないことに無力感を覚えるためもある?

今回は、米ソの冷戦時代(1957年代)を舞台にしての4作目。東西両陣営の超能力開発競争からロズウェルの宇宙人(1947年)、水晶ドクロ(クリスタル・スカルの意)の正体、ナスカの地上絵、エルドラドの都マケド、文明の起源の宇宙人飛来説と渡り歩くのだが、肝心なお宝クリスタル・スカルの効能が全然わからない。何のためのものなのか?インカのピラミッドと宇宙人の組み合わせは、「エイリアンVS. プレデター」のプレデターの役割となんら変わらないのがガックリなのだ。ストーリー自体が収拾つかなくなったとしか思えない。

前回インディの父親が出て終わったので、今回はインディの息子マットが登場する。これは当然考えられる登場なのだが、よせば良いのに母親まで出てきてしまう。あのガリガリの(それも老けた)カレン・アレンを引っ張り出すのには首を傾げてしまう。この息子、マーロン・ブランド気取りの「乱暴者」(1953年)で、オートバイとナイフは得意だがお勉強はまるでダメ。こんな劣等生にするより、時節柄コチコチのコミュニストにして、父親をガッカリさせた方が良かったのではないか。どうせ息子を捨てた親父なんだし。

冷戦時代の悪役と言えば、ナチスに代わって共産主義である。だから、冷酷な女SS将校ならぬ、冷酷な女エージェントにして美人科学者となる。共産主義者の美女という設定なら、「ニノチカ」のグレタ・ガルボのようなキャラクターにして欲しかった。反共主義者のインディとの惹かれ合いながらも闘うというパターンが生きただろう。せっかく芸達者ケイト・ブランシェットを起用しているのだから、そのくらいの遊びは欲しかったのだ。

ご都合主義のオン・パレードも気になった。開巻、ネバダ砂漠の米軍基地で宇宙人(グレイ)の遺体の争奪戦が意味(●●)()なく(●●)あるのは、まぁいいとしても、逃げ込んだところが有名な核実験場。折悪しくも核実験に巻き込まれ、屋内の鉛の冷蔵庫に隠れて核爆発を回避(!)するのだが、衝撃で投げ出されキノコ雲の真下でしっかり(●●●●)被曝する。でも次の場面で何かの洗剤で洗ってきれいさっぱり。スーパーマンじゃあるまいし、こんなことってあるか?彼らにとって広島・長崎は一体何だったのか。

ジャングルの中、伐採車で木を切り倒して道を作りながら進んでいたのに、いざカー・アクションが始まってしまうとそんなことはお構いなしで、ジープが並行して走ってしまうし、上下に揺れもしない。道なき道を切り開いて進んでいたんじゃなかったんかい!

エルドラドからクリスタル・スカルが500年前に盗まれ、それを戻しにゆくという基本ストーリーなのだが、とにかく難関絶壁の大冒険行で、あまりに凄すぎる。逆に、かつてどうやって(宇宙人の首である)ガイコツを盗むことができたのか、その方が疑問になってしまうほどであるし、ラストの古代都市大崩壊は視覚的に凄いだけで全く意味不明。13体の宇宙人たちは生きて待っていたの?結局何がどうなったのか。神秘のヒーリング・パワーだの宇宙の秘密だの最後まで歯切れが悪い。すべてを不問に付すようなCG映像だった。第1作「レイダース」当時、2人の若者の、絵空事ながら「物語」を真摯に語ろうとするパワーをそれなりに感じたものだが、ここでは資本に塗れて老いたその姿を見るのみだ。

日本語吹き替え版にて。


注)インディの相棒でレイ・ウィンストンが出ているが、かなりの肥満体。では、「ベオウルフ」は何だったのか。

 ●監督◎スティーブン・スピルバーグ
 ●製作総指揮◎ジョージ・ルーカス キャスリーン・ケネディ ●製作 フランク・マーシャル
 ●脚本◎デヴィット・コープ
 ●音楽◎ジョン・ウィリアムス
 ●主演◎ハリソン・フォード
 ●共演◎ケイト・ブランシェット カレン・アレン シャイア・ラブーフ ジョン・ハート レイ・ウィンストン
    
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