4月3日(月) Stage No1._25km

日の出と共に自給自足の生活が始まる。今朝はご飯と味噌汁と缶詰。 (日本人だなぁ。)
8:30 スタートゲートでその時を待つ。大会本部長の挨拶が始まった。 勿論フランス語で訳が分からない。その上長い。 日本の挨拶なんてもんじゃない。 30分はあっただろうか。テンション上げて集中していたのに.....
ヨーロッパ人が時間にうといとは聞いていたが.....
次第に選手が 声を出し始めた。どうやら挨拶が終わりカウントダウンが始まった。 (きっとフランス語だっただろう。最後「.....・トゥワ・ドゥ・アン」と 言ってたような気がする。勉強しとけば良かった。)
気が付いたときは時既に遅し。一番前に並んでおきながら出遅れた。

230km(7日間)の第一歩。
サハラへの思い入れと、つい先日まで走れなかった欲求が一気に爆発。 無我夢中で全力で走っていた。スタートダッシュでそのままトップを快走。
”サハラを自分の足で走っている”感動で背中の重さは感じない。 サハラの大地・太陽の陽射し・風、全身で感じる全てが心地良い。

どれくらい走っただろうか。集中力と共に次第にペースも落ちてきた。 背中の感覚も正常になり、10kgを超える背中の荷物は鉄の塊にさえ感じる。 (ただ幸か不幸か、スタートで500mlペットボトルを2本とも落としてしまい 1kg軽くなっっていた。)

パッと瞬いたその時、 「俺は何してるんだ、こんな所で?」
「どうして何にも無い荒れ果てた大地を、炎天下の暑い中走ってるの? しかも鉄の塊のような重い荷物背負って。」

現実に戻っていた。..........どうしよう???
でも、あまりにも現実離れしたこの場所で、しかも炎天下の中 そんなこと考える気力も無く条件反射的に走る。

第1チェックポインット(C1) チェックを受け水を受け取る。美味い。残った水を頭から浴びて、 ゴールを目指す。
陽射しは更に強くなり、背中の荷物が徐々に負担となる。 ペースは更に落ち歩いたり走ったり。上位入賞が遥か彼方に遠のいていく。
だがそれにより、ただ走るだけではなく、サハラを楽しみ 体じゅうでサハラを感じるような余裕が出てきた。(遠足だなぁ)

3時間後、Stage No1.ゴール。

電気・ガス・水道など近代文明が無い砂漠。日中は50℃にもなる。 無闇に動くと体力を消耗するので、テントの下で涼しくなるのを待つ。 (そう言えば砂漠にはそんな動物がいっぱいいたなぁ)
傷んだ体を治して休めて、周りの選手と話をして、地平線を眺めて、 何かをするわけでもなくのんびり過ごす。
日本では味わえない、とっても贅沢なひととき。

太陽が傾き陽射しが弱くなる頃、枯れ枝を集める。 それを焚いて食事を作る。うどんとスープと紅茶。 砂漠で食べるとこんなにも美味いとは、思わず笑みがこぼれる。

日が沈めば夜。電気が無いから暗い。寝るしかないだろう。
空に散らばる無数の星がやけに明るい。

1995.APR.3, 4, 5, 6, 7, 8, 9