書籍 N・ウィーナー,サイバネティックス
19-Oct-1994 10:11              発言数 :127
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書籍
 N・ウィーナー,サイバネティックス,岩波書店(1962年)

ウィナーの新刊本(%1)がみずず書房より出されたことを知り[朝日94.10.16書評]
久しぶりにサイバネティックスを読み返して見ました。

数式表現が多様されている本ですが、哲学を専攻したことのあるウィナーの視点は
当時細分化を加速していたそれぞれ(数学、物理学、生物、生理学、医学)の専門領域
を通底する思想と迫力を持っている。
50年近く前(1948年)に書かれた内容にしては現在でも十分批判力を持っている。

本によれば、サイバネティックスが生まれた理由として、こうした新たな研究手法を
必要と感じた各専門分野の学者の自発的かつ継続的な集団活動の場から発生した、との
こと。

特に第8章「情報、言語および社会」はお薦めです。
フィードバック概念を確立した著者が、人間集団を
情報の視点で見た時の批評は今読んでも唸ります。数式はありません。

一部を引用
 「共同社会の情報の有効量に関連して、社会政治に関するもっとも驚くべき事
  実の一つは、有効な恒常作用(homeostatic process)が極度にかけていることで
  ある。多くの国で通用している一つの信仰がある。この信仰は、アメリカ合衆
  国では公式の信仰箇条にさえ祭り上げられている。それは自由競争がそれ自体
  恒常作用をもっているということである。すなわち自由市場で引き取りをする個
  人個人が、できるだけ安く買ってできるだけ高く売ろうとする利己主義が、結果
  としては価格の安定化を招来し、また最大多数の利益となるというのである。」

それともう一つ
 「本書で学んだことの一つは、どのような組織体でも、情報の獲得・使用・保持・
  伝達のための手段をもつことによって、恒常作用が営まれるということである。」

※恒常作用の代表的な1例は、体温の調節。

%1) N・ウィーナー,発明−アイディアをいかに育てるか,みすず書房
        ※1954年に書かれた原稿が今頃翻訳された。

とってもおおざっぱな議論ですが、
私の感じていることは、
交通手段の発達と、メッセージ伝達手段の発達で、入ってくる情報の関連する
人的分布が地球規模になったにも関らず、
相もからわず、既存メディア(TV、新聞、学校、宗教)
のメッセージ伝達手段のコストが高いため、一部利益団体やグループ
(政治家、資本を持っている人や組織)にコントロールされるハメになっている。

我々は、何等かの殻に入っていた方が安全だから、自由を求めながらも
生の情報を求めようとしない。本質的に外部へ生の情報を取りに行くことは
競争社会の原理においては、自分を危険にさらすことになるから「危ない」。

私は、ウィーナーの言う恒常作用が営まれる社会を目指したい。
日本人の得意の「和」とか、調和とか、いうやつです。
秘訣は、とっても簡単で、
 自分の魂の叫びに靜かに耳をそばだて、
 その想いを身近な人へ伝え、
 同士と共に行動する
の3つだと思っています。
ここで、「身近な人」で、「同士」とは、まず自分自身です。
そんな人が増えたとき初めて、パソコンというツールが恒常性に向けて威力を発揮
し始めるんだろうと思っています。

我々は一人一人がオリジナルであり、光る力を持っている。
自分で磨かなければならない。


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