一般財団法人長野県文化振興事業団人材育成基本計画

平成31年3月28日策定

T 総論

 1 はじめに

当事業団は、長野県が設置する文化施設等の管理運営を目的に昭和54年に設立され、40年近くにわたって本県の文化芸術の振興に寄与してきました。平成18年度からは指定管理制度が導入され、現在は、同制度により文化会館3館、信濃美術館、飯田創造館の県有5施設を管理運営するほか、埋蔵文化財センターの運営を行っています。

文化芸術を取り巻く環境変化に伴い、当事業団は、県民の心の豊かさの醸成、文化力の向上をめざし、長野県と連携し文化芸術振興の中核を担い、県民が優れた文化芸術に触れる機会を提供するとともに、県内の芸術家、文化芸術団体、文化施設、市町村等の文化芸術活動を支援していくことが求められています。

こうした中、指定管理制度導入以降、当事業団の職員の構成や意識に変化が見られるため、次期指定管理者の指定(平成31年度から5年間)、当事業団の新たな行動指針の策定(平成31年度から5年間)に併せて、職員の資質の向上と、組織力の強化を図るため、「人材育成基本計画」を定めるものです。

 

 2 新たな行動指針の目標

   「県民の心の豊かさの醸成と文化力の向上をめざして一丸となって行動する」

 

 3 組織の課題

(1)指定管理者制度以降の職員構成(埋文センターを除く)

  @県から管理委託を受けていた平成17年度以前のプロパー比率は5割、プロパーと県派遣を合わせた比率は7割を占めていました。平成18年度指定管理者制度への移行に伴い、松本文化会館が指定管理者から外れたこと、県職員派遣の引き上げなどから、ここ数年は、プロパー比率が3割強、県派遣を含めても4割弱で推移しています。なお、次期指定管理において、3文化会館のプロパー比率は5割にする予定です。

 A3文化会館と信濃美術館を合わせた4館のプロパー職員の年齢構成は40代が13人、50代が9人、30代が8人、20代は0人で、平均年齢45.9歳と高齢化しています。

 B3文化会館と信濃美術館を合わせた4館のプロパー職員の格付けは、平成30年4月1日現在、課長級が0人、課長補佐級が1人、専門幹が1人、係長級が2人で、県及び他の類似団体に比べて昇格が遅れています。また、格付けとは連動していませんが、プロパー職員の副館長の任用は一般職、舞台技術職各1人で、県職員のOBが嘱託として副館長職を務めていることもあり、管理監督者への登用が進んでいません。

 C3文化会館同士が離れていること、飯田創造館の所在が他の施設と離れていること、文化会館、美術館、埋蔵文化財センターが異種施設であることから人事異動が停滞しています。

(2)アンケート調査に見る組織の課題

 @調査時期 平成30年12月

 A調査対象 プロパー職員及び嘱託職員

 B調査方法 コンサルタント会社の協力を得て、職員の匿名による意識調査を実施し、当事業団の課題を明らかにする。

 C調査結果

  【評価の高い主な項目】

  ・やりがい 「当事業団で働けてよかった」(95) 、「今の仕事は面白い」(75)

  【評価の低い主な項目】

  ・経営方策 「組織がどの方向に向かうか不安である」(16) 、「新しいやり方を積極的に取り入れる組織だ」(12)、「当事業団の仕事のやり方には工夫が足りないとは思わない」(22)

  ・組織風土 「組織内でのコミュニケーションに不足は感じない」(28)

  ・人材育成 「次のリーダーが育っており、組織力に不安はない」(6)、「部下の育成に熱心な管理者が多い」(20)「職員は組織の課題を理解し、それを自ら改善する風土がある」(28)

 

 4 めざすべき職員像

  ○主体的に行動し挑戦する職員

    プロパー職員の比率の低さ、職員の高齢化に加え、アンケート結果から、県の外郭団体、非公募の指定管理団体として安定感を有し、文化振興の仕事の面白さを感じている反面、文化芸術を取り巻く環境の変化に伴い、当事業団の機能強化を求められる中において、事業を工夫し、新しいやり方を取り入れ、 組織の課題を理解して自ら改善していく意識が乏しい状況にあります。

    新たな行動指針実現のために主体的に行動し、新しい事業に挑戦していく、「企画力」を備えた職員像が求められます。

  ○組織をリードする職員

    プロパー職員の比率の低下、県職員のOBが管理監督する立場を占めてきたことから職員の登用が進まず、アンケート結果に見られるように、次のリーダーが育っていない状況にあります。

管理監督能力を磨き、組織をリードする「指導力」を備えた職員像が求められます。

   ○組織として協力し合う職員

アンケート結果から組織内でコミュニケーションが不足し、また、当事業団の施設が離れ、異種多彩であることから組織間で十分な連携が取れていない状況にあります。

各組織内でのコミュニケーション、施設間での連携を密にし、「チーム力」を備えて組織一丸となって協力し合う職員像が求められます。

 

 5 人材育成基本計画の概要

(1)計画の期間

   平成31年から5年間の中期計画で、新たな「行動指針」の期間、文化会館3館の    指定管理期間と同じとします。

(2)計画の内容

  @職員を育てる研修の充実

  A職員を育てる人事管理の強化

  B職員を育てる職場環境づくり

 

 6 人材育成基本計画の推進

(1)基本計画の具現化

  5年間の年次計画を策定し、計画的に推進します。

(2)推進体制

  各館の副館長等を人材育成推進担当者とし、事務局と緊密な連携を図りながら推進します。

(3)進捗管理

  人材育成基本計画の進捗状況を理事会、評議員会に報告するともに、必要な改定をしていくものとします。

U 各論

 1 職員を育てる研修の充実

(1)OJTの充実

  @管理監督者の資質向上

   県主催のホスピタリティー研修、長野県公社公団連絡協議会主催のリーダー養成研修に参加します。

  AOJTの基本の共有

  「OJTの手引き」(長野県職員キャリア開発センター作成)を活用し、OJTの基本について認識を共有するほか、長野県公社公団連絡協議会主催の能力開発研修に参加します。

  B芸術監督団事業への参画

   芸術監督団事業への参画を通じて企画力を習得します。

(2)新規採用職員の育成

  @新規採用職員の教育担当者の指定

   教育担当者を指定するとともに、組織として育成します。

  A新規採用職員研修

   事業団主催のオリエンテーション及び長野県公社公団連絡協議会主催の研修会に 参加します。

  B先輩職員との意見交換会の開催

   先輩職員との意見交換会を通じて事業団の理念、目的等を理解するとともに、新規採用職員の横のつながりを形成します。

(3)職場外研修の充実

  @職場外研修への参加

   [文化会館・創造館]

   文化庁、(一財)地域創造、全国公立文化施設協会、長野県舞台技術者協会、全国公益法人協会が行う、文化施設運営、アートマネジメント、舞台関連研修、各種実務研修等へ参加します。

   [信濃美術館]

   文化庁、全国美術館会議、県博物館協議会が行う、美術館運営、学芸員の資質向上の研修会等へ参加します。

   [埋蔵文化財センター]

   文化庁・奈良文化財研究所、全国埋蔵文化財法人連絡協議会、県博物館協議会が行う施設運営、調査研究員の資質向上のための研修会等へ参加します。

  Aアートマネジメント人材による研修

   事業団の委嘱したアートマネジメント人材による研修会を開催します。

  B休館中における研修の充実

   大規模改修時に他館の業務や芸術監督団事業に参画し、他の施設や事業のノウハウを吸収します。

  C他県の視察研修

   チームを編成して他県の文化施設を視察してノウハウを吸収します。

 

 2 職員を育てる人事管理の強化

(1)計画的な職員採用

  @プロパー人材の確保

   当事業団の機能を強化するため、文化会館においてはプロパー職員の比率を50%にするため、若い職員を中心に年度計画に基づき計画的に採用します。信濃美術館においては新美術館開館に向けて必要な学芸員等の人材を確保します。埋蔵文化財センターにおいては、プロパーの調査研究員を計画的に採用します。

  Aアートマネジメント人材の確保

   芸術監督団事業の推進、当事業団の職員を育成するため、アートマネジメント人材を確保します。

  (2)人事異動

  @人事異動方針の明確化

   適材適所に加えて、意欲と能力を十分発揮できる人材育成の視点に立った人事異動に取り組みます。

  Aジョブローテーションの推進

   一般職員ついては、人事異動方針基づいて定期的に職場や職務の変更を行い、多様な職務を通じて幅広い視野や専門的な知識・技術が習得できるようにします。係長級以上の職員については、職務経験を通じて培った能力を発揮できる人事配置を行います。

  Bプロパー職員の管理監督能力の養成と管理監督者への登用

   プロパー職員の管理監督能力を高めるとともに、管理監督者への登用を進め、プロパー職員が事業団をリードできるようにします。

  C再雇用職員の能力の活用

   再雇用職員が定年退職までに培ってきた能力や経験を活かして、意欲を持って職務に取り組むことができるような職場配置に努めます。

(3)人事評価制度

  @人事評価制度の導入

   職員一人ひとりの育成と組織力の向上を目指し、職員の能力を適正に評価するため人事評価制度を導入します。評価制度は、職務遂行力評価と業績評価(目標管理制度)との二つとします。

   職務遂行力評価は、職責に応じて求められる行動、果たすべき役割が実現できるかなどを評価します。業績評価は、上司と部下が組織目標を共有し、面談、評価結果のフィードバック等、コミュニケーションを図りながら、各自の業績目標が達成できたかどうか評価をします。

   評価者の「誤差」なくすために評価者の研修会を行うとともに、複数の評価者による公正な評価に努めます。

  A人事評価の反映

   職員のモチベーションの向上のため、人事評価に基づいて昇給、昇格を行います。また、業績評価の手当への反映を検討します。

(4)給与制度

  @昇給・昇格制度等の見直し

   昇給・昇格制度を精査し、新たに給料の調整額(管理職手当)を制度化して、職員が意欲を持って職務に当たれるように見直しを行います。

  A社会人採用者の処遇の見直し

   社会人採用者の経験を昇給、昇格に反映できる仕組みづくりを行います。

 

 3 職員を育てる職場環境づくり

(1)心身の健康管理

  @身体的健康の保持増進

   職員の健康診断、要精検者の受診を勧奨するともに、特に生活習慣病の予防を徹底します。

  Aメンタルヘルス対策

   管理監督者は、職員の職位、業務内容に応じたきめ細かな配慮を行います。長期療養休暇取得者については、療養相談、職場復帰への支援に努めます。また、職員のメンタル不調の未然防止を図るため、ストレスチェックの実施を検討します。

(2)ワークライフバランスの推進(仕事と生活の調和)

  @(一財)長野県文化振興事業団「行動計画」(第4回 平成30年度〜33年度)の推進

   産育休の支援、年休取得の増加、子育てをする家族の支援事業を実施します。

  A時間外勤務の縮減

   事務事業の見直し、管理監督者と部下のコミュニケーションを密にして、業務の効率化を図り、時間外勤務を縮減します。

  B働き方改革の推進

   国の「働き方改革」の動向を注視し、長時間労働の是正、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保に努めます。

(3)ハラスメント対策

   平成27年に就業規程に整備したハラスメント防止規定に基づき、職場研修を通じてセクシャルハラスメント、パワーハラスメント、育児休業等に関するハラスメントの禁止を徹底します。また、ハラスメント相談員を明確にするとともに(副館長等)、電話相談等に応じる体制を整備する(事務局長)。